【F/M】襖の奥で
🕑 Added 2025-03-07 14:03:50 +0000 UTC
襖の奥で
(F/M)
田舎は嫌いじゃない。この季節特有の虫の声とか、風の音がよく聞こえるし、都会暮らしの"優里"には目に映るもののほとんどが新鮮で目新しいものばかりだからだ。
母の実家のある田舎。
大自然の中にある優里にとっての異世界。
そこに、優里は久しぶりに行くことになった。
親戚の集まりがあるのだ。
優里は過去に一度、そこへ行っているらしい。確かに言われてみればそういった記憶もあるのだけれど、はっきりとは覚えていない。
その当時の思い出となる記憶の中の何か大事な部分がごっそりと抜け落ちているように思う。
田舎は嫌いじゃない。
だけど──。
胸騒ぎが止まらなかった。
久しぶりの親戚の集まりは高校生の優里にとっては別に特別楽しいものでもなかった。
周りはほとんど親ほど歳の離れた人たちばかりだし、そんな人たちを相手に子供の優里が話すことなどない。
そんな中──。真紀お姉ちゃんだけが頼みの綱だった。
真紀お姉ちゃんこと、"久野瀬 真紀"は少し歳の離れた親戚だ。
背が高くて、物知りで、これまではあまり意識したことなどなかったが美人だと最近は思う。
「優里。手相見てあげよっか」
退屈な宴会で大人たちが大人の話で盛り上がっている中、真紀は優里の手首を握ってその手を引き寄せた。
真紀お姉ちゃんの手は、男である優里の手よりも大きい。
幼少期にピアノやっていたからかただでさえ指も長いのに、爪も綺麗に伸ばしてあるから余計に指が長く見える。
歳上とは言え、自分よりも背も高くて手も大きい真紀を見るたび、優里はなんとなく、負けた気分になる。
「なるほどね…恋愛運がイマイチかな」
真紀はそう言って広げている優里の手のひらのシワを人差し指の爪でなぞった。
「ちょっ!?」
硬くてツルツルした陶器みたいな爪の先の感触が手のひらをなぞったのがくすぐったくて、優里は手を引っ込めた。
「あれ?どうしたの」
真紀が不思議そうに首を傾げた。口角が僅かに上がっている。
「い、いやなんでもないけど…」
優里は照れ隠しにスマートフォンを取り出した。
特に、やることもなかったけれど、その時なぜか優里は恋人とのメッセージ画面を開いた。
「それ誰?」
「うわっ!」
知らぬ間に真紀が最後に回り込んでスマートフォンの画面を覗いていた。
優里は慌ててスマートフォンを抱えるようにして隠した。
「別にいいでしょ。隠し事するような仲じゃないんだし」
「い、いやそれはさぁ…!」
こういう仲だからこそ、恥ずかしいのだ。
「へぇ。それにしても…優里に彼女かぁ…」
真紀はニヤニヤと笑った。
「な、なんだよ…」
やられっぱなしの優里は少しでも反撃したくて、軽く真紀を睨んだ。
「お姉ちゃんに向かってそんな顔すんの?」
真紀の大きな手が優里の華奢な肩を掴む。
真紀が優里を引き寄せる。
──泣いて漏らすまでこちょこちょしてやろうか?昔みたいに。
真紀は耳元で確かにそう囁いた。
「えっ──」
鳥肌が全身にぶわりと立つ。
「うそうそ。冗談だよ」
真紀はあははと笑ったが、何か強烈な違和感が優里の心にはこびりついていた。
夜が来た。
優里と真紀は、親戚たちの泊まる母屋とは違い、離れにある家屋で寝ることになっていた。
母屋から離れまでは50メートルほど離れている。
古い建物だが、二階建てでしかも風呂もトイレもあるし、ここでも全然暮らしていけるなと優里はそんなことを考える。
静かだ。夜の虫の声が聞こえる。
ここには、優里と真紀だけ。
優里と真紀はさっさと風呂や歯磨きを済ませた。
「優里。怖かったら一緒に寝てあげようか」
優里が、自分の寝床へ続く襖を開けた時、真紀がからかうように言った。
「はぁ?何言ってんの」
いつまでも子供扱いされるのは、嫌だ。
「だってほら、こちょこちょオバケが出るかもよ〜?こちょこちょ〜」
真紀は優里の横っ腹をワシワシと爪でくすぐった。
「うわっ!?ちょっ!?やめろって!」
優里は堪らず身体をくねらせ、横に飛んだ。
真紀のこちょこちょは本当にくすぐったい。
爪が長いからか、そもそもそういう指だからなのかは分からないのだが。
午後23時には寝床に入った。
疲れているはずなのだが、なかなか寝付けない。
さっき真紀にこしょぐられた横っ腹がなんだかまだゾワゾワする。
真紀の爪のあの硬くてツルツルした感触が、妙に肌に染み込んでいる。
当の真紀は、襖を一枚隔てた向こう側で寝ている。
随分と遠くにあるはずの踏切の音がかすかに聞こえた。
眠れない。
眠れないから──優里はスマートフォンを取り出して恋人からのメッセージに返信しようとした。
その時だった。
がたんと襖が揺れた。
真紀の眠る部屋に続く襖。
襖がゆっくりと開く。
襖の向こうは闇だ。
その闇からぬうと小麦色の手が顔を出した。
大きな手だ。長い指だ。水晶のように透明で艶々とした綺麗な爪が伸びている。
指は、こちょこちょこちょこちょとうねっている。
見ているだけでくすぐったくて、全身に──特にさっきこそばされた横っ腹に鳥肌が立つ。
嫌だ。こちょこちょは。
これ以上、指が蠢くのを見たくない。
見たくないのに、目を離せない。
闇の中で、妙にくっきり浮かぶ指がくすぐりダンスをしているのを。
あれは、真紀だ。
当たり前のことである。
闇の向こうには真紀が眠っていたのだから。
「なんだよ。真紀姉ちゃ──」
優里がそう言おうとした時だった。
「ゆーうーりー。お姉ちゃんにさぁ、彼女とのメッセージ見せてよ」
不気味に蠢く指はそう言った。
「えっ…?」
優里は反射的にスマートフォンを強く握った。
「見せて」
「な、なに言って…」
「やり取り。見せて」
真紀は指を伸ばし、手のひらを優里に見せた。スマートフォンを差し出せ、と言わんばかりに。
「何言ってんのか分かんないんだけど?俺、もう寝るよ」
優里はそう言って布団に包まったが、それでも真紀は執拗にスマートフォンを要求し続けた。
「なんなんだよもう!」
優里は起き上がり、開いていた襖を閉じようとした。
その時だった。
「捕まえた」
闇から伸びる大きな手が、優里の肩を掴んでいた。
「はっ!?」
凄まじい力で優里は闇の奥──襖の奥へと引き摺り込まれた。
「うわぁっ!な、なにするんだっ!」
優里は布団の上を転がった。
襖がぴしゃりと閉まる。
「ゆーうーりぃー。お姉ちゃんの言うこと聞こっか」
優里を見下ろす闇の中の真紀は、いつもよりもさらに大きく見える。
「言うこと聞かないなら…こちょこちょ地獄だよ」
真紀は脅すように指をこちょこちょこちょこちょ蠢かせた。
本当に本当に、こそばゆい指の動きだ。
「はぁっ!?そんなんで脅せると思ってんの!?俺、もう子供じゃないんだけど!」
「ううん。優里はまだ子供。だから…恋愛なんか早いよ。お姉ちゃんが監視しないと」
「意味不明!付き合ってられないよ」
優里は起き上がって襖を開けようとした。その、優里の背筋に、つぅーっと鋭くて冷たいこちょこちょ刺激が走った。
「うひゃあっ!」
背筋をなぞり下され飛び跳ねる優里。
真紀は、そんな優里の横っ腹をひと揉みし、さらに反対側の横っ腹を爪でこちょこちょくすぐった。
「ひぎゃっ!?うわっ!?うわはははははははははは!?」
くすぐりコンボに優里は悶え、へたりと尻餅をついた。
「お姉ちゃんに、スマホを、見せなさい。次に拒んだら…分かってるよね〜?」
真紀は指でエアくすぐりをしながら優里を見た。
「はぁはぁっ!い、意味わかんないんだよ!なんで真紀姉ちゃんにスマホ見せないといけないんだ!」
優里は、くすぐりコンボによって脱力感を感じながらも強気で返した。
真紀は眉を上げた。
「悪い子に育ったんだね。
悪い子には…お仕置きしないとねぇ」
真紀は、恐怖の指をワキワキと蠢かしながら優里にその手を迫らせる。
「ちょっ!?や、やめろって…!」
優里は尻餅をついたまま後退りをする。
「ほぉら…」
真紀の両手がグワッと伸びてくる。
「うわっ!」
優里は慌てて両手を手を突き出し抵抗する。
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょーっ!」
「ひっ!?うわっ!?うわはははははははははははははっ…!?あれっ!?」
優里は確かに、胴体に猛烈なこちょばゆさを感じた。だから悶えた──しかし、真紀の指は優里にまだ触れていなかった。
エアくすぐり。
触れるか触れないかのところでこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょとくすぐり蠢いていただけだったのだ。
「しまっ──」
無駄に暴れたことでガラ空きになってしまっていた腋の下に、真紀の手が今度こそ喰らいつく。
指の関節が折れ曲がり、
腋の下をガッシリと掴まれた。
「はぅっ!!?」
優里は腰を浮かせ、呻いた。
硬い爪の感触が、滑らかな指の感触が、熱い手のひらの肉感が、腋の下に密着する。
真紀がニヤリと悪魔のような笑みを浮かべる。
「や、やめっ──」
「悪い子にはぁ〜…こちょこちょ地獄の刑だぞぉー!こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょーっ!!」
「ぐぁぁぁぁぁあああーっ!!?あーっ!!あーっ!!ぁぁぁぁあああああああーっ!!!!あーっ!!!あははは!?あはははははははは!!?あはははははははははーっ!!?」
腋の下を指がワシワシワシワシと動いて爪の先で神経をガシガシくすぐる。
それが堪らなくこそばゆくて、優里は下品な声をあげて脚をバタつかせた。
「ほらね。こちょこちょに弱いのは子供の証拠。ねぇ?こちょばいね?こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!」
真紀はガッシリ捕まえている腋の下をさらにガシガシワシワシ爪で虐める。
「ぐあは!?あはははははははははははははははははははははは!!?きっっきつっ!!?あっ!?やめっ!?やめろっ!!!やめろぉぉぉぉっ!!!いひははははははははははーっ!!!」
ワシワシと指関節が曲げられ、爪の先がグイグイと神経に食い込んでくるたびに優里は喉が締まるような笑い声を絞り出し、暴れる。
暴れずにはいられない。叫ばずにはいられない地獄の苦しみだった。
「やめろ?お姉ちゃんにそんな言葉遣い…良いのかな?ねぇ。いいの?」
真紀が、指の腹を腋の下の窪み当て、ぐりぐりクチュクチュと腋の下を擦った。
「ほぇっ!!?あっ!?あああああああああああああああああっ!!?あっ!?ちょっ!?これっ!?これなに"っ!?ぃぃぁぁぁあははははははははははははははーっ!!?」
くすぐったさを感じる神経の塊をそのままクチュクチュとスクラッチされ、優里は目から涙を流して首を振り回した。
布団がぐちゃぐちゃに乱れる。
「優里。ごめんなさいは?」
真紀は時折、爪の先でのこちょこちょを混ぜながら腋の下をクチュクチュクチュクチュとほじくり回す。
「ふぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!?ぎゃっっははははははははははははははははははははははっ!!?いひひひひひっ!!?くぁぁぁぁははははははははははっ!!誰がっ!!謝るかぁぁっ!!」
爪くすぐりによるゾクゾク感と、クチュクチュによる暴力的なくすぐったさに優里は陸にあげられた魚のように激しくのたうち回った。
「ほんっと…悪い子だねぇ」
真紀は何故か嬉しそうに笑いながら、優里の腰のあたりに馬乗りになった。
「ぐぇっ」
大人の女の体重が一気に身体にのし掛かり、優里はさらに無防備な状態へと陥る。
「優里が良い子になるまで…」
真紀が優里のシャツをぺろりと捲る。
「…ここ…こちょこちょ地獄にしよっか」
真紀は、息を切らして激しく凹んでは膨らんでを繰り返すお腹を見下ろす。
「腹筋割れてるね。鍛えてるんだ…偉い偉い」
真紀は、優里の引き締まった腹部を爪で撫で回す。
「ふひゃあっ!?あひゃっ!?ああああっ!?」
爪によるゾクゾクしたくすぐったさがお腹に走り、優里はビクビクと震えた。
「はぁはぁっ!!さっきからなんなんだよ!おかしいってば!」
優里は真紀に怒鳴った。
力づくで真紀を退かそうにも、くすぐり地獄のせいで身体はヘロヘロで力が入らない。
「こ、こんなの──」
こちょりっ!
「ぎゃっ!!?」
優里の抗議は、爪によるひとくすぐりで遮られた。
たった一撃で、全身にぷつぷつと鳥肌が立つ。
「ごめんなさい…しよっか」
真紀が、十の指の先──長く伸ばされた爪の先を腹筋に添える。
「ひぃっ!!?」
まだこちょこちょされてもいないのに、こそばゆくて、冷たくて、恐ろしい感覚が腹部に染み込んでくる。
「優里。お姉ちゃんにごめんなさい出来るよね」
真紀の指に僅かに力がこもる。
「いっ…!?それはっっ…」
ここで首を横に振れば、間違いなくヤバい目に遭わされることは明白だった。
だけど、ここで屈すれば子供扱いされる上に一生馬鹿にされるに決まっている。
だから、負けられなかった。
「謝ることなんか…なにもないっ!」
優里はそう言ってやった。
真紀はふっと鼻で笑った。
「じゃあ…」
指関節がゆっくりと曲げられ、爪の先がしっかりと腹部の表面に突き立てられた。
「…腹筋くすぐりこちょこちょお仕置き地獄の刑だね」
──来る。
優里が歯を食いしばったその時。
「こぉちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉー!!!」
長い長い十の指が器用にバラバラと暴れ、腹筋部を爪の先でこちょこちょごしょごしょ貪り始めた。
「ぶっ!!?ぶひゃっ!!?ひぃぁぁぁああああああああああああああああああああっ!!?あははは!?あはははは!!?あはははははははははははははは!!?」
怒涛のくすぐったさが腹筋を貫通し、口は呆気なく開き、目元は弛み、脳内はすぐにくすぐったさでいっぱいになった。
優里は自身の腹をこちょこちょ貪る真紀の手首を掴むが、そんなものは抵抗にさえならない。
「ゆーうーりー?謝れない悪い子にはこちょこちょ地獄だよ。酸欠になって狂っても知らないよー?こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!!」
真紀は、脇腹の近くを爪の先で細かくこちょこちょしたり、腹筋の下腹部をモジョモジョして優里を徹底的に仕置きする。
「かっ!!?くぁっ!!?あああああはははははははははははははははははははははははははははは!!?ひっっひぬっっっ!!死ぬぅぅぅぅぅっっっ!!!やめでぇぇぇぇーっ!!!」
優里はバッタバッタと足で布団を踏み鳴らし、ふるふると首を振って天井に向かって叫ぶ。
薄い表皮の腹筋部を、長い爪をしたこちょこちょ蜘蛛がこちょこちょこちょこちょこちょこちょ這い回る。
優里はそのくすぐったさに気が狂いそうになっていた。
「いはははははははははははははははははっ!!?くるじっ!!?くるじっっ!!?いひひひひひひひははははははっ!!ごめんなさぃっ!!ごめんなさぃぃぃぃっ!!!」
気づけば優里は絶対に言ってはいけない言葉を何度も口にしていた。
そうしないと、気が狂う。
この先も馬鹿にされ続けるとかそう言ったことなんか、気が狂うことに比べれば些細な問題であると脳が判断したのだ。
「よく言えました。偉いね優里。ご褒美のこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!」
油断していた優里の腹に、ダメ押しのくすぐりが容赦なく注がれる。
「うぎゃぁぁぁあああああああああああああっ!!?なんでっ!?なんでぇぇぇぇっ!!!」
真紀の指がようやく止まった。
顔を真っ赤にして息を切らし、汗だくの優里とは反対に、真紀はまったく疲れていない。
「それじゃあ優里。スマホ見せて」
「はぁはぁはぁっ!!だ、だから…それは嫌だって…それは勘弁してよ…」
謝るのは受け入れるが流石にスマートフォンを見せるなんて承諾できない。
「見せろ」
真紀の口調が変わった。
「はぁはぁっ!!無理だって!!」
「ぬるぬるされたくないでしょ」
「はっ!?」
言っている意味が分からない。
「最後にもう一回だけ聞くよ優里。スマートフォン…見せる?」
「なんでもかんでもこちょこちょで言うこと聞くと思うなよ…!?」
優里が身を起こそうとすると、真紀が優里の腰骨にあるこそばゆいツボを親指でグリッと押した。
「ぐぁっ!!?」
身体から力が抜けて、優里は再び仰向けに倒れる。
「仕方ないなぁ。じゃあ…"ぬるぬる"しとこっか」
真紀は闇から何かを取り出した。
何かの液体が入ったボトルだ。
「はぁはぁっ!!これ以上何かしたら…タダじゃ済まないぞ!明日…みんなに言いつけて…」
「大丈夫。今の記憶飛ぶくらいのこちょこちょ地獄だからさ。ぬるぬるは」
真紀はニコニコしながらボトルの蓋を弾くようにして開けた。
「これ。なーんだ?」
真紀は大きな手のひらに、ボトルからとろとろとした液体を垂らす。
「はぁはぁっ…それはっ…」
ローションか。
「知ってる?これ塗ったくられてこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこしょぐりまくられたら…ヤバいんだって」
真紀はローションを自身の手に入念に塗り込む。
「世の中にはさぁ、人を全裸に剥いて磔にして、これいっぱい塗ってヌルヌルにして…やめてとか死ぬとか言われてもこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょくすぐり続ける動画があるんだよ。大丈夫。今回は磔にはしないから。その代わり──」
真紀はぬるっぬるテカッテカの手指爪をずいと前に突き出した。
「──本気でくすぐり抜くけどな」
ヌルヌルフィンガーがこちょこちょ蠢く。
「ひぃっ!!?」
「これ受けてもまだスマホ見せないって言うんなら…褒めてあげる」
真紀のヌルヌル指が優里の服の中に忍び込み、皮膚の上を滑る。
「いぎぃぃぃっ!!?」
何かこうヌルヌルとした異生物が、身体を這っているような感覚とくすぐったさに優里は顔を歪ませる。
「ひゃっ!?うわっ!?うわっ!?うわははははははははははははは!!?」
触れられているだけで、くすぐったい。
「やめっっ!!!やめろぉぉぉっ!!」
腋を閉じ、くねくね暴れる優里。
しかし、ヌルヌルの手と指は閉じられた腋の下の僅かな隙間にも、容易くぬちゅっと入り込んでくる。
「ひあああああああっ!!?」
ヌルヌルの指と、硬い爪の感触が腋の下にじっとりと染み渡る。
「いくよ?悪い子ちゃん」
「や、や、やめっっ…」
「お仕置きの…こぉちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉーん!」
「ぶふふっ!!?ひっ!?ひっ!!?ひぃぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああっ!!?あっ!!?なっ!!?なにこれっ!?うわぁぁぁぁぁあはははははははははははははー!!!?」
ローションにより余計な摩擦が消えた指と爪が、腋の下を徹底的にくすぐり嬲り始めた。
爪の先で、指の先で、腋の下をむしゃむしゃ食べるように。
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!!!
「ぎゃぁぁぁああああははははははははははははははははははははは!!?うわはっ!!?はっ!?やばっ!!?うわっ!?かっ!!?くぁぁはははははははははははははー!!!」
さっきまでのこしょぐりとは次元が何段階も違う。
これは、相手の脳みそを破壊するためのくすぐりだ。
「優しくしてるうちに降伏した方が良いよ?ほらほら」
真紀は閉じられた腋の下に手を抜き差ししたり、爪の先で腋の下の窪みをカリカリ掻いたりして優里を苦しめていく。
「いやははははははははははははははははははは!!?ぜったい!!絶対しなぃぃぃぃっ!!っっひひひははははははははははははははははははははははは!!?」
本当はもう、心は折れているけれど──。
「へぇまだ意地張るんだ。じゃあ…」
真紀の手が腋の下から離れる。
「必殺…上半身味わい尽くしの刑!」
真紀の爪が胸の辺りに喰らい付き、ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!
ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ!!っと上半身のウィークポイント全てをこちょぐり回し始めた。
「ひっ!!?はっ!!?うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!?あはは!?あは!?っは!?あははははははははははははは!!?やっっやばっ!!?うわっ!?ひぃぁぁぁああああああ!!?」
真紀の十の指が、優里の腋の下、胸、乳首、お腹、横っ腹、脇腹──それらを縦横無尽にくすぐり回す。
あまりにスピードが早いため、まるで同時に数カ所をくすぐられているかのような錯覚に陥る。
「ほーらほら…何か言うことあるでしょ?こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょー!!!」
「ぶはははははははははははははははははははははは!!?み、見せます"っ!!見せ"ますぅぅぅぅっ!!!すまほぉぉっ!!!見せますからぁぁぁぁあああ!!もうやめでぇぇぇぇぇ!!!」
もはやどこがどうくすぐったいのかも分からない。判断できない。理解が追いつかない。
くすぐりの地獄の渦の中、優里は降伏した。
「そうそう。その泣き崩れた顔が可愛いんだからあんたは…。ほらもっと見せて」
真紀はここに来て腰骨のこちょばいツボを親指でグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリっ!!っと指圧した。
「くきゃっっ!!?ぃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああっ!!?あっ!!?ちょっ!?なんでっ!?見せる"っ!!見せるってぇぇぇぇぇぇっ!!!ひぎぃぁぁぁぁああああ!!」
涙を流し、鼻水を垂らし、おしっこを漏らしながら優里は悶え続けた。
真紀による、度を超えたこちょこちょのお仕置きは、朝方まで続いた。
朝日が部屋に差し込んだ頃、優里は汗と涙と尿の染み込んだシーツの上で伸びていた。
「可哀想な優里。こんな目に遭うのは初めてじゃないのを知らないなんて…また来年遊ぼうね」
真紀は、気絶している優里の唇に濃厚なキスをした。