王女様救出大作戦(後編)
🕑 Added 2021-12-15 13:32:11 +0000 UTC
数時間後…
恭太とカイルの2人は倉庫を俯瞰できる位置に陣を構えた。
アイラのスマートフォンに仕込んだ発信機のおかげで、東京都内の郊外にある山中にある廃倉庫にアイラがいることがわかった。
カイルはアサルトライフルに取り付けた暗視スコープで、恭太は熱源スコープで倉庫内の様子を探っていた。
「熱源反応が8…だけどいまいちわかんねえな…」
建物には熱源反応があるものの、アイラがどれかはいまいち判然としない。
「この暗視スコープもそこまではっきり見えるわけじゃねえ…最悪、一か八か強行突入するか?」
熱源スコープを額に上げる恭太。
それに対してアサルトライフルの暗視スコープを見ながら頷くカイル。
「おい、ちょっと待て。倉庫から出て来る奴らがいるぞ!11時方向、距離300」
恭太はカイルに指示された方へと銃口を動かした。
「マジだ…納屋の扉から3人出て来る…」
カイルの暗視スコープの緑のかかった視界の中に、2人の屈強な男に挟まれて倉庫から出てくる小柄な少女の姿が映る。
「もしかして…」
スコープの倍率を上げるカイル。
両腕を後ろに回され、顔の下半分はマスクのようなもので覆われているが間違いなくアイラの姿だった。
「アイラか?」
恭太が尋ねると、カイルは首を縦に振った。
「間違いないと思うが…倉庫内にも何人かいそうだな。」
アイラには間違いないのだが、倉庫内で敵が待ち構えている可能性が限りなく高い。
熱源反応はアイラのものも含めて8つだが、他にもいる可能性も否定できない。
物心ついた時からあらゆる戦闘技術を叩きこまれた2人はいやでも慎重にならざるを得ない。
特に人質がいて自分たちよりも敵の数が多い場合は特に…
「倉庫の中に入った…」
監視する2人の前でアイラと男2人は古い建物の中へ消えた。
「んぐうう!!」
倉庫に入るとアイラは眼鏡をかけた長身の男とニット帽に顎髭を生やした男に押さえつけられ、パイプ椅子に座らせられた。
さらにそれだけでなく男達はアイラの足首に革製バンドを巻きつけて、それを椅子の脚に結びつけてがっちりと拘束した。
拘束を終えると男達は、拘束を振り解こうと身体を揺すりくねらせ、マスク越しにうめき声をあげるアイラの様子を眺めながら腰を下ろした。
「まったくボスの考えはわかんねえな。これだけ骨が折れる仕事をした後、女を前にお預けなんて酷い話だぜ?」
ニット帽の男が悪態ついた。
「下手にあの女に手を出してみろ。お前がボスに殺されるぞ。」
眼鏡の男が悪態をついたニット帽の男を嗜めた。
どうやらこの眼鏡の男の方が上の立場のようだ。
「でもボスの目的はもう達成したでしょ?だったらいいじゃないですか?ちょっとくらい遊んでも…」
ニット帽の男が自分に何かしようとしているのを感じて、アイラの方は彼を見上げ、睨みつけた。
「んむぅ…」
「そう怖い顔をするなよ。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ!」
ニット帽の男はアイラの拘束された椅子の隣に腰を降ろして、彼女の身体に手を触れる。
コートの上から腋の下、胸元、腰から秘所へと服の上から掌を這わせて、身体を震わせ呻き声をあげるアイラの反応を楽しんでいた。
「んんっ!!」
「随分処女臭い反応だな。でも気持ちいいだろ?」
無論、マスクのせいで答えられるわけが無いのを承知しての発言だ。
ニット帽の男はさらにコートのスカートを捲る。
白いパンティがチラッと見えてしまい、恥ずかしそうに顔を赤くして俯くアイラ。
「王女様はどんな下着を穿いているのかと思ったら、そこらの女と変わんねえな。」
「むううっ!!」
アイラは恥ずかしさのあまりに涙目になっていた。
「それじゃあ、そろそろいただくとするか…」
「ボスにバレたらどうなっても知らないからな。まあ、チクリはしないが…」
「わかってんじゃねえですか!!それじゃあまずは胸を頂くぜ。」
ニット帽の男は下品な笑みを浮かべて両手で、アイラの胸を揉み始める。
「…んむぅっ!!」
胸を揉みしだく度にアイラが体を反らす。
嫌がりながらもマスクと縄で拘束された姿はどこか色っぽく見えた。
「おおっ、中々良い反応してくれるじゃねえか王女様♪」
アイラの反応に満足そうな様子のニット帽男。
「……んんぅっ!……ん……んむぅっ……!」
(恭太、カイル
助けて…)
思わず近くにいない護衛の名前を心の中で叫ぶアイラ。
自分はこのままテロリストに拉致され辱められてしまうのだろうか。
(いやっ…そんなの…絶対嫌…!!)
意味をなさないとわかって首を振って抵抗するアイラの目から涙が零れ落ちる。
絶望に支配され、いよいよだと覚悟したその時…
パリンッ!!
いきなりガラスが割れる音が響く。
それに続くように次の瞬間、ニット帽の男の身体が音を立てて倒れる。
驚いたアイラが男を見るとこめかみに穴が開いており、血がニット帽に滲んでいた。
「何だ!!?何が起こったんだ!!?」
想定外の事態に取り乱す眼鏡の男。
懐から拳銃を取り出すものの、間髪入れずに再びガラスの割れる音したと思うと眼鏡の男の額に小さな穴が開く。
後頭部から血が噴き出すと同時に、糸の切れた操り人形のように床に崩れ落ちる。
(これは…狙撃!!)
アイラは状況を理解した。
護衛であり、親友でもある2人が助けに来てくれたことを。
「恭太、こっちはOKだぜ。2人消毒した。」
「あとは俺がアイラを救出する。援護してくれ」
恭太は拳銃を噛めると立ち上がって茂みから出て、倉庫の入り口へと駆け出していた。
「敵襲だ!!」
「何者だ!!?サツか!!?」
襲撃に気付いたテロリスト達がサブマシンガンを持ちながら倉庫から出て来る。
その中にはテロリストのリーダーであるレイドハムの姿もあった。
テロリスト達は動いている恭太らに銃を向けようとしたが、それよりも早くカイルがアサルトライフルのフルオート射撃を浴びせる。
凄まじく正確無比な射撃に犯人が1人また1人と倒れていく。
「ナイスだ、カイル!!あの金髪野郎がボスみたいだな!!」
カイルのアサルトライフルの射撃に負けず劣らず、拳銃で確実にテロリストを仕留めていく恭太。
「くそ!!ここは一旦…があっ!!?」
凄まじい銃撃から退却しようとするレイドハムの肩に指の太さほどの赤い円が出来る。
「畜生!!痛え!!」
肩に被弾したレイドハムはそのまま倉庫の中へと後退していった。
「逃がさねえぞ!!クリスマスに面倒な仕事増やしやがって!!」
恭太はレイドハムが出てきた倉庫のドアを開け中に駆け込んだ。
後にすぐ素早い動きで茂みから出てきたアサルトライフルを構えたカイルが続く。
「王女様、ナイトの登場だぜ!!」
「とんだクリスマスプレゼントだな!!」
2人が倉庫のに入ると椅子に縛られたアイラ、そして慌てふためくレイドハムがいた。
「それ以上近づいたら、この王女の命はないぞ!」
「んっー!ふぐぐうぅ」
息を切らしながら血走った目でアイラに銃を突きつけるレイドハム。
肩から流れる血の量から見てかなり辛そうだ。
「悪かったな。お楽しみ邪魔してよ?」
「映画とかでそんな台詞吐く悪役は負けるって知らない?」
レイドハムと対峙している恭太とカイルが状況に合わぬ軽い口調で尋ねた。
「近づくな!!会話で気を逸らす気だろうがそうはいかないからな!!」
会話で足元から注意を逸らして、ほんの少し前進したのが気づかれ、恭太は舌打ちした。
「バレちまったならしゃあないな。」
「お前ら、こいつがどうなってもいいのか?いいから、逃走用の車を用意しろ!」
レイドハムはそう叫ぶとアイラの胸に拳銃を押し当てた。
「んむーーーっ!」
アイラの目に涙がどんどん溜まり、今にも溢れてしまいそうだ。
これ以上は耐えられそうにない様子だ。
「OK、OK。あんたの要求は分かったよ。だからその子を解放してくれないか?武器を捨てるからな?」
そう言うと恭太が地面持っていた拳銃を放り投げると頭の後ろに手を組む。
「そのまま跪け!!」
「いいのか?そんなこと言って?どうなっても知らねえぞ?」
「いいから言う通りにしろよ!!」
「わかったよ!!」
そう言って瞬間、恭太が跪いた瞬間、後ろにいたカイルがアサルトライフルを構えていた。
「なっ…」
いきなりのことに動揺するレイドハム。
近付いてくる恭太に気を取られ、後ろに重なるように配置していたカイルへの注意が疎かになっていたのだ。
「グッバイ!!」
ズダダダダダ!!!
アサルトライフルの引き金を引いてフルオートで叩き込むカイル。
「んむぅぅぅ!!!」
あまりの衝撃にアイラは目を瞑る。
フルオート射撃が止むと地面にはレイドハムが倒れていた。
しかし、その頭は柘榴のように砕けており判別が出来ないほどだ。
「助けに来たぜ、王女様!ちょっと遅れたが…」
後ろ手に縛られ、マスクギャグをされたまま泣きじゃくっているアイラは何度も頷く。
カイルはナイフを取り出して、彼女の手を拘束する革製バンドを切った。
「よし、バンドは切ったぜ!」
手が自由になったアイラはすぐにマスクのベルトに手を伸ばす。
そして、思い切りマスクを顔から引き剥がすと蒸気した顔が笑みを浮かべた。
「ありがとう。ふぅ、助かったわ…」
「帰りが遅いと思ったらSMプレイかよ。」
「もっと優しい言葉はいえないの?」
皮肉を言う恭太とそれに食って掛かるアイラ。
「まあまあ、なにはともあれ無事でよかったじゃないか。」
「そうだね。2人のおかげだよ。ありがとう…」
アイラの目には助かった安堵感と嬉しさのためか涙が浮かんでいた。
「何だかんだいって、アイラ。お前SM好きだったりして?」
「ち、違うわよ」
恭太の言葉にアイラは赤くなって下を向いた。
「さぁ、馬鹿なこと言ってないで帰るぞ。ケーキの用意はまだ終わってないからな。今から戻ってパーティー再開するぞ。」
「そうだな、今日はクリスマスだしたらふく食おうぜ!!」
「そうだね。とんだクリスマスになっちゃったけどここから取り返そうよ!」
3人は廃倉庫を出て粉雪が降る中、マンションへと戻るのであった。