リップクリーム!
🕑 Added 2024-03-09 05:00:00 +0000 UTC
「……最近乾燥がひどくなってきたなあ。寒いし」
「……だねえ」
石川君は何の気なしにそういって、私の頭をなでてくれます。
普段なら優しい彼の対応ですが、その時の私は、何というか、すごく嫌な予感がしました。
「……なあ」
「……」
「……あのさ。志保」
「……」
無言を貫く私。
それでも、変に頑張り屋さんの石川君は、私の肩に手を置くと。
「……あのさ。リップクリームに変身してくれないか?」
「っ、嫌だからね⁈ 変身なんてしないからね⁈」
ブルブルと後ずさる私。
しかし、目の前の石川君は、どこまでも真剣な表情で、私の両肩をつかむと。
「お前の体はリップクリーム。小さな円柱となって、キャップを取れば優しい香りがして、俺の唇を柔らかく……」
「やっ、やめ……ああっ……」
抵抗する暇さえなく、私の体に変化が生じます。
もともと小柄であるはずの私の体は、見る見るうちに小さくなっていきます。いつ見てもおかしな光景ですが、私の体は驚くことに、身動き一つとれません。
「石川君、やめ……てぇ……」
……毎度のことですが、私にどうにかできることではありません。
そのまま私の体は、見る見るうちに小さくなっていって―
「いい加減慣れてくれればいいのに」
(む、むりだよう……っ)
すっかりたった一つのリップクリームになってしまった私を、ひょいとつかみ上げる石川君。
(あっ……だめぇっ、脱がさないで……)
「脱がすって……キャップ外すだけだぞ」
(やあっ……)
私の文句など聞きもせず、そのままリップのキャップを外してしまった石川君。
そのまま、自分の口を、私のクリーム部分に押し当てて。
(んっ、やっ、やだあっ、そこっ、舐めないでっ……)
「なめてない。塗ってるだけだ」
石川君はそんな風に言うけれど、やられる側からすればどちらも同じようなものだ。
必死に抵抗しようにも、ひょいとつかまれたまま、敏感なところに口をつけられる。
(ああああんっ、待ってっ、や、やあっ……石川君、待ってっ、んッ……)
「慣れない奴だなあ」
そういうと、石川君は私の体をくるくると回転させる。
(あっ、ダメえっ、そんなにむき出しにしないでぇっ)
(こすりつけちゃダメえっ、そんなにされたら、わたしっ、あっ、んああああっ!)
「……そっか」
これだけ私が声を上げているというのに、石川君は短い返事をすると、より執拗に私の敏感な部分を責め立てる。
(やめっ、お願いっ、これ以上クリーム部分、舐めないでっ、こんなにされたら、私っ、私っ……イッちゃう……んああああっ⁈)
そして、頭が真っ白になって、私の記憶は、そこで途切れた。
「や、お疲れ様」
「……石川君の、バカ」
気が付くと私は石川君の膝の上にいました。体はすっかり元に戻っています。
「どうしていつも、石川君はこんなこと……」
「あはは、でも、気持ちよさそうで、かわいかったぞ?」
石川君は、おそらく真っ赤になっているであろう私の顔を見て、柔らかい笑みを浮かべました。