アツアツのフライパン 中編
🕑 Added 2023-07-15 06:00:00 +0000 UTC
(あっ、やんッ、そこっ、握らないでっ……!)
「声は可愛いよなあ。お前」
(か、顔もかわいいって言いなさいよっ……ひゃああああああんっ)
「今はその顔もないんだけどな……そういういじらしいところは、案外嫌いじゃないよ」
(んッ、そ、そんな風にさわられながら言われてもっ、なんとも・・・・・っ!)
「そうか。まあ、いろいろやってやるよ」
(んあっ、あっ、あんっ、ダメ、それ、っ)
「んー?」
試しにデコピンの要領で、フライパンの底に軽く指をぶつけてみる。
パチン、と。
(ぴぎいっ⁈)
「ははっ、ぴぎいだって、流石にはじめて聞いたよ」
(ちょっと! いい加減にやめ……ぴぎいっ! ぴぎいいっ⁈)
どうやら相当敏感な場所だったらしく、悲鳴に似た声が上がる。
しかしどうやら、苦痛を感じているわけではないらしく……
(んひいいっ! ひゃめつ、やめなさいっ、ひゃめてえええっ! ぴぎいいっ!)
「やめてくださいって、おねがいしてみてみ?」
(だれがそんなことっ、ひゃ、んッ……ひゃあああっ! そこ、ばかり、いじるなああっ……!)
悶える彼女の反応を楽しむ颯斗。
これでフライパンじゃなければなあと苦笑するが、これはこれで十分楽しかった。
「どこばかりなのかわかんないからなあ。実際声で判断するしかないんだわ。それなりに感じてるみたいだし、もうちょい強めに行っとくか?」
(待ってっ、やっ、やめ……んああああっ、はあっ、あああっ! はやと、だめ、っ、ダメええっ……!)
プルプルと震えるフライパンは、まるで意識が宿っているかのように、痙攣を続ける。
「まあ、ほんとに宿ってるわけだからなあ……いや、ほんと。よくこんなもの土産屋で売ってたな。さっきの発言は撤回する。これは確かに面白いよ」
(んああああんっ! こんこんしながらいうなああっ)
「そんなに悶得ながら言われてもな。まあいいや。苦しいだろうし、そろそろ一度イカせてやるよ」
そういうと、指先でコツンコツンと、高い音が鳴るようにフライパンをつつく。
フライパンと化した美優は、自分が何をされるのかとっさに理解したが、遅かった。
(ま、待ってっ、これ以上されたらっ、ああっ、あんっ、あんっあああんっ! ま、まってはやとっ、あんっ、ああっ!)
「待たないっての。ほらほらっ」
(や、やめへえっ、こ、これ以上されたら、おかしくなるっ、モノ扱いされてモノにされちゃうっ、ふぁああっ、だめっ、やあああっ!)
人間体でも挙げたことのないような喘ぎ声に、しかし、颯斗は笑って、
「安心しろ。説明書は読んだ思考増も理解した。あとできちんと戻してやるから……今はただ、俺のフライパンとして悶えてろ」
そして、パンパンと、フライパンの表面を軽く手でたたき、
「ほら、はしたなく絶頂しとけ」
(ん、やっ……ふぁああああああっ⁈)
びくん、と、まるで反り返るような反応を見せたフライパンは、くたっと、床に倒れこむようにして、それからしばらく動かなくなった。
そして、そんなフライパンを颯斗は、優しくいたわるように、しばらく撫で続けた。
(ハアッ、ハアッ……は、颯斗おおっ……ああんっ、颯斗っ……)
「よしよし、普段からこれくらいかわいげあれば文句ないんだけどな。とりあえずおとなしくしとこうなー」
器用に自身にすり寄るフライパンをなだめながら、颯斗はもう一度、説明書を確認する。
「ええとなになに、無機物と入れ替わってしまった時の対処は……ほう」
そして、説明書をきっちりと読み込んだ颯斗は、
「美優、まだ体うずくか?」
(うんっ、熱いのっ、からだうずくのおっ……)
それは、普段の美優ではまず見せないような、でれでれに甘えた状態で。
それを受けた颯斗は、ちょっぴり苦笑して、
「よしよし、じゃあ大丈夫。元に戻してやるからなー」
徐々に熱をおびてきたフライパンに、軽く触れてみた。