裏番組のアナウンサー 後編
🕑 Added 2022-09-17 04:00:00 +0000 UTC
『ちなみにですが。ゴリラも動物ですので発情期があります。夜の動物園の隠し映像がこちらになります』
アナウンサーが一言添えて、VTR映像が流れる。そこには
『ウホッ、ンホオオッ! ンホオオオオッ!』
先ほどのゴリラだろうか。一心不乱に自分の女性器に指を伸ばして、かき回しながら声を上げている。
『はい、周りに誰もいないから、発情期を抑えるために自分でイタしてるんですねー。心細くなってついついやっちゃったのかもしれませんねー』
最早アナウンサーも棒読みだ。番組プロデューサーにあきれているのかもしれない。
実際テレビを見ている俺だってそうだ。
「悪趣味な……」
「同感ですが、にしては社長、熱心に御覧になっていませんか?」
……しょうがないだろ。見た目はあれでも、中身は女の子が一生懸命オナニーしてるんだぞ。見なくてどうする。
「どうせこれ、生放送じゃないんだろ? だったらどうすることもできないし。情報は大事だ」
「まあ、分からなくはないですけどね」
『うほおおおっ、ほおっ、ウホオオオオッ!』
あ、イッたな。
これで終わりかと胸をなでおろしたところで、しかしそれが早計だったと気づいた。
『ウホッ、ウホッ、ウホオオ……』
さすがに疲れたのか、そのままおとなしくなった様子のゴリラ。先ほどの様子からして、もともとは里見さんという女性らしいが、彼女にさらなる問題が襲った。
「ウホオオ……ウホッ⁈ ンホオオオ!」
オスが集まってきたのだ。
当然ゴリラが集団で向かってきたら、だれだって逃げる。里見さんだってそうだったのだろう。
しかし、本職のゴリラと元人間。しかもオスとメス。
どうにかできるはずもなく。
「ウホオオ!」
『ンホオオッ/// ホオオオッ、ウンフォオオオ⁈ ンホオオオ~!』
成すすべなく犯されて、声を上げる里見さん。
おそらく、『やめてええっ/// あたしは人間よっ、んああああっ⁈ やめてっ、そんなにおっきいのいれないでっ、あああああんっ』みたいな感じなのだろうが、まあ、これはわかんないな。
まあいい。必要なことはわかった。
「要するにあれだろ? 仕事でミスった人たちを、バツとして動物に変えて動物園で流す。裏社会の物好きたちも見る。お金も落とす。みんなうれしい」
「はい、その通りです」
『ンホオオオオオッ! ホオオッ、ホオオオオオッ……』
かわいそうに。みんなにかわるがわる犯されて。はしたない声を上げるゴリラ。もとい、里見さん。
「一応このテレビ録画しておいてくれると助かる」
「すでに録画済みになっておりますので、ご安心を」
相も変わらず有能な秘書である。
テレビの向こうではそろそろ次の動物に話が移っていて。
『さて、ゴリラさん、元気いっぱいでしたね。いろんな意味で……かわいそうに』
最後にぼそりとつぶやいたのは、本人の感想かもしれない。
『さて、次の動物は何でしょうか、はい、正解はこっちですっ』
アナウンサーはひきつった顔のまま、次の檻へ向かう。
するとそこには、
『はい、次の檻はトラでしたー……ああ、だめですねこれ。もう始めちゃってますか』
あきらめたような声のアナウンサーに加えて。
『ヴニャアアアっ! ヴニャアアアアアッ!』
「ぐるるっ……」
交尾を繰り返す一組のトラのカップルが、そこにいた。
そして、後ろからバックでピストンをされている雌のトラは、アナウンサーに気づいたのか、
『ヴニャア⁈ ヴニャウニャアア! グニャア!』
「……あ、沙織ちゃん」
どうやら友達か後輩なのか、先ほどよりも親しそうなアナウンサー。
だがやはりというか、トラ、沙織さんのほうには余裕もなさそうで。
「ヴニャーゴっ! ヴニャああっ……ヴニャあっ⁈ にゃへええええっ……」
文句をたれていた矢先、再び後ろからとびかかられる沙織さん。どうすることもできず、甘い鳴き声を上げながら交尾を開始する。
どうにか逃げ出したいのだろうが、この姿勢ではどうすることもできない。
「ブニャヘッ、にゃへえええっ……ヴにゃああああっ!」
人間は二足歩行。トラは当然四足歩行だ。慣れていなければ、逃げ出すことなど不可能。
そして、どうすることもできないと悟ったのか、素直に前足を折り曲げて、されるがまま。
「にゃへえええっ……! へええっ、ヴニャアアアっ! ヴニャアアア……!」
喘いでいる。
間違いない。喘いでいるとわかってしまう。
彼女は、沙織さんは、トラの姿になってもなお、一生懸命、女として、喘ごうと頑張っているのだ。
女としての尊厳を、精いっぱい守ろうとする姿に、さしもの俺も心を動かされる。
『なれない体で頑張ってる……頑張って、もう少しの辛抱だから』
アナウンサーのほうも、少し応援気味になっていて。
そして、
「ニャーゴっ// ふにゃああっ⁈ ……ウンニャアアアアッ!」
美しい雌トラは、気高く、果てた。
「おや、社長、よろしいのですか? 電源を切ってしまって」
「……うん。決めた」
もう、ここまでのものを見せられたら、どうしようもない。
俺は威厳に満ちた声を作って。
「このテレビ番組、うちがスポンサーになるわ。あのゴリラとトラの子も、スカウトしよう。もっと待遇はよくして、もっといやらしく喘いでもらおう!」
「……かしこまりました」
秘書の目が少しだけ冷ややかになっていたのは、まあ、見て見ぬふりをしよう。