妹が炊飯器になれば、おいしいご飯が炊けるかもしれない 後編
🕑 Added 2022-06-04 04:00:00 +0000 UTC
「さて……どうしようか」
英輔の視線の先では、
(あはああんっ、あっ、ああんっ、あたしの中、あついのっ、もっとっ、きもちいいのっ、ああんっ、ああっ……)
快楽を求めるかのように、その熱に当てられた炊飯器が、ぶるぶると震えている。きっと元の良子の姿なら、その顔を快楽にとろけさせて、身をよじらせて喘いでいることだろう。
「……見ない方が、いいよなあ」
英輔と良子は、兄妹である。しかし、義理の兄妹だ。
案外仲がいいので、多少のエッチなスキンシップはあるけれど、これはちょっと一線的に微妙なのでは? と、割と冷静に考えた。
そして考えた結果。大人しく奥で待機しておこうと、そのまま部屋の向こうへ体を向けて—
(ああんっ……い、行かないでぇっ……兄さん、ここにいて、くださいっ、んああっ……)
「や、でも……」
(ひとりにしないでっ、寂しいのっ、せつないのぉっ……体中熱くて、ビクンビクンして気持ちよくて、でも、やああっ、一人はやああっ! ああんっ、お、おねがいですっ、そ、側にいてよぅっ……)
「……でもなあ」
義妹のエッチな声が聞こえる、そして、ここに居ろと言われる。理性が持つかはギリギリ怪しいラインだ。
だから、
「……理性が持たないかもしれないし、ちょっとイタズラするかも……」
(いいですからっ、ああっ、エッチに触ってくれたら、いいからっ、ああんっ! お願いしますっ、兄さんっ……!)
「……分かったよ。そこまでいうなら。でも、遠慮しないからな」
(来てっ、来てええっ……)
熱に、炊飯器としての本能に当てられているのだろう。どう見てもいまの良子は、普段の真っ当さを失ってしまっている。
しかし、確かにその声は色っぽい。
「ボタンを押したら、ああ、炊飯が止まっちゃうのかな……まあ、軽くなら大丈夫か」
(あんっ、兄さんっ、だめっ、それだめえっ、止まっちゃうっ、ごはんできなくなっちゃうから、ああっ、やめっ、んにゃあああっ!)
「……わかってるよ。ほら、だからボタンの先っぽをコリコリするだけ」
(らめれすっ、それ、おかしくなるっ、兄さんっ、だめえ……!)
「ダメじゃないさ。せっかく炊飯器になってるんだから、炊飯器のいいところ、完璧に教えてやるよ……まあ、俺も知らないけど」
(ひゃああああんっ、あっ、やあっ……)
「……まあ、泣いてもわめいても絶頂はさせるから、そのつもりでな」
(やああああっ……)
喘いでいるような、しかし、若干期待しているような声に、英輔も少し興奮した様子で、
「……たとえばさ、この白いボディも、結局腹回りってことだよな」
(やっ、やああっ、さわっちゃやだっ、兄さん、あんっ)
「……びんかんなぶぶん見せびらかして、おなかも隠さずに、体中俺に見られて……エッチな声上げて……」
(い、言わないでっ、あんっ、んっ、ふぁあっ……んひゃああああっ⁉)
そうして快楽の中に羞恥心が戻ったところで、再び優しく全身を撫でまわすのだ。
「……大丈夫、俺しか見てないからな。俺にだけ、気持ちよくてエッチなとこ、全身、良子の全部、俺に見せてくれ、ふふっ」
(あ、ああああっ……)
言葉攻めとも打って変わって、今度は優しい言葉で安心させる。すると、さっきまでの全身に対する愛撫が、遅れたように効果を発揮するのだ。パンパンと軽くたたかれて、こわばっていたはずの全身が、打って変わってとろけたように、英輔の手のひらに吸い付いてくる。
もっとも、今の良子は炊飯器なので、材質的には変わらないはずだが……
それでも、炊き上がり直前の良子は、もう体中のあちらこちらがとろけそうなものになっていて、
(あああんっ、だめっ、兄さんっ、それ以上はダメっ、こんなに触られたら、蕩けちゃうっ!ご飯がお粥になっちゃうっ、だめっ、んああああっ!)
「おかゆでもいいさ。良子が作ったお粥なら、大丈夫。それっ! これはどうだ?」
(やああんっ、あっ、やああっ、あっ、おなかにキスしちゃやあっ……恥ずかしいようっ……)
実際恥ずかしいようで、炊飯器の後ろの方からは湯気が立ち上ってきていて。
「おお、そろそろ出来上がるみたいだな。気分はどうだ?」
(兄さん、にいさんっ、だめっ、わたしっ、わたしもう、もうっ!)
「イキそうか?」
(うんっ、ああんっ、わたしっ、イク、行きますっ、兄さんっ、ああっ、やああっ!)
すでに炊飯器はカウントダウンを始めていて、残り数秒で完成を示していて。
偶然かねらい通りか、出来上がりの音楽とともに、
(んやあああああああっ、イクっ、イッチャうぅぅっ! 兄さんっ! ああっ、ふぁああああっ!)
……新品の炊飯器は、ちょっとだけ汚されたかもしれない。
「……だから言ったじゃないですか。兄さん。お粥になっちゃうって」
「ああ、まあ……」
三十分後。食卓にて。元に戻った良子がジト目で告げた。
総菜の唐揚げをつまむ二人は、白米にしてはちょっぴりぐちゃっとした、お粥じみた食事をしていた。水を入る線を間違えた英輔のミスである。初めての自炊は、失敗も多い。
……まあ、それでも。
「わ、私の中でできたお粥ですから、美味しく食べてくださいね?」
「……おう」
夕食としては、そう捨てたもんでもあるまい。