クールスパイの甘い鳴き声 ④(終)
🕑 Added 2021-12-04 02:00:00 +0000 UTC
「足、いや、尻尾かな、バタバタしてるけど、どうなんだこれ?」
「やっ、触らないで……っ!」
「大丈夫、どんな声出しても、誰にも聞こえやしないから」
なにしろ、もともと人間にはないのだ。ここは。
「ここのおかげでおれが蹴飛ばされることもないし、人魚みたいでかわいいよ」
「っ、ひゃあっ、あっ……」
尻尾の部分は相変わらずバタバタと、己の快楽を表すかのように地面にたたきつけているが、変わることなど何もない。
「さっき指でかき回した時も可愛かったよ。だから今度は、フィンの言葉で、直接聞きたいな」
「ま、まって、あっ、ふぁあっ、やっ、あっ、あああっ!」
ゆっくりと腰を動かし始めた俺に、フィンも本格的に飲まれ始めた。
「あひゃっ、ああんっ、あっ、しゃちょうっ、だめっ、もうやめてっ、ふぁああっ!」
「どう? さっきの姿でおマンコいじられてるのと、どっちが気持ちいい?」
「そ、それは……ふぃいんっ、ふぁっ、ああっ……」
「教えて」
一度動きを止めてでも、ここは聞かなければならない。もしあまりこっちの評判が悪いのなら、今一度手を変え品を変えが必要だし。
しかし、帰ってきた言葉には、正直心臓をつかまれそうになった。
「……か、快楽は、どっちも……でも、言葉が通じるのが……あなたに愛されてるって実感がわくのが……すごく……んああっ……」
やばい。めっちゃ可愛い。
アシカの姿も気持ちよくて、でも言葉が届かなくて不安で、いまは気持ちがつながってるからいいって。なにそれ。模範解答にも限度があるだろ。
普段大人しくて無表情なのに。いまだってできるだけ表情を崩さないようにしていて。でも、それでもこらえきれずに顔をとろけさせてくれて。
「発情してるから、だけじゃないよ。俺たち、いまほんとに愛し合ってる。だからこんなに求めてるんだよ、多分」
「はああっ、あんっ! んっ、ふぁあっ、そ、それはあっ、で、でも……はああんっ!」
「素直な声聞かせてくれて、すごくうれしい。大好きだぞ」
「んっ、ふぁああっ、社長っ、お、お慕い申して……ひいいんっ……あっ、わ、私、もうっ……」
慣れない体だ、無理もない。発情もしていることだし、この結論は当然だろう。
「俺も出すよ。大丈夫。俺はアシカじゃない。きちんと責任取るから」
「あ、ああっ♡ い、イクっ、わ、わたしっ、あっ、ふぁあああっ!」
急激に締まるフィンの身体。それと同時に、俺の精液が流し込まれる。
妊娠させないための薬も、なんか効かないであろう予感がして、
「ふぁあっ……わ、私の中に……っ」
「ああ、いまのフィン、無茶苦茶可愛いよ」
なおも身動きの取れないフィンの唇を、俺は余裕をもって奪った。
「というわけで、これをもって、私のスパイ業務は終了とさせてください」
「分かりました。では、今までありがとうございました」
俺の社長室で、フィンと側近が話し合っている。
スパイの仕事はもうこりごりとのことだ。そりゃそうだ。
アシカになって裸をさらされ、アシカになってオスのアシカに襲われ、アシカになったまま俺にまさぐられ。獣人になった後は……こほん。
「では、私はこの後の業務がありますので、フィンさん。あとは……」
「はい、私はもう、仕事がありませんので」
フィンの顔が、以前より柔らかくなった、などと、最近噂になっているが……勘の鋭いやつらが多いのは、うちの数少ない美点だろう。
さて。
「……こうして君と、素直に抱き合う日が来るとはな」
「ええ、私もそう思います」
「……いまさら言うことじゃなけど本来の姿は、思ったより華奢なんだな」
―抱きしめてみると、それを強く感じるよ。
「……それは、褒められているのでしょうか。んッ……あっ……」
若干拗ねたようなフィンの体を抱き寄せて、そのまま口づけを果たす。
獣人の時と何ら変わらない、あの口づけだ。
以前より小柄になったその体つきを、肌で感じるように強く強く抱き寄せ、
「じゃ、じゃあ……いいよな。人間として、君本来の姿として」
「ええ……お慕い申しています」
俺は、ベッドにフィンを押し倒し、そのまま胸を、体中をまさぐる。
「……あっ」
「こえ、我慢しないで。誰もいないから、誰にも聞かせやしないから」
そして、愛撫を続け、キスを続け、挿入を続ける。
「あっ……ああっ!」
「好き……」
唇を奪うと、そこにはもう、物静かさは消えていて、
「アンッ、ふぁあっ、そ、そこはっ、あっ、アンッ!」
「大好きだぞ、ずっと」
「ああんっ、わ、わたしもっ、ずっとっ、ずっとっ! んああっ、わたしもうっ、ふぁあああっ!」
びくびくと震える癖は、どの姿でも変わらないらしい。スーツをびしっと決めていても、その様子では可愛さが勝るばかり。
せいぜい、足をバタバタできるかどうか、そのくらいの差なんだ。
「ああんっ、わたしっ、あっ、イクっ、イッチャうっ、んああああっ!」
「フィンっ、好きっ、大好きだっ!」
だから、俺が好きなのはアシカでも、獣人でも、人間でもなく。
「ああっ……わ、わたしもっ……んああああっ!」
きっと、フィンなのだろう。