そんなに怖くない食品化
🕑 Added 2020-07-11 11:34:16 +0000 UTC
(ん…ああ、こころ、あれ?私、どうしたの…?)
姉のまいが気が付いた時には、妹の心がにやにやしながら見下ろしている状態だった。
こころとまい。二人は魔法使いの子孫にあたるが、魔法が使えるのは一族でこころだけだ。
だからたまにこうして未知の環境に置かれることがあるが、今回はその中でも埒外だったといっていい。
「あ、おねーちゃん、起きた?」
(起きたっていうか、身体が動かないんだけど…これ、どうなってるの…?)
「ん?ああ、そこのところをきちんと説明するね?」
こころはこれでも高校生で、恋の一つでもしたいお年頃だ。
「で、いきなり手料理は難しいから、クッキーでも作ってみようかと思ったの。でも材料が足りなくて。いちいち階に行くのも面倒くさいし。」
(…まさか)
「そう!おねーちゃんに生地になってもらうことにしました!パチパチパチ。」
(ええ・・・)
そんなわけで、今回のクッキングテーマはクッキーだ。
「ええとまずは、水とバターを入れてよくかき混ぜないとね。」
(ちょっ…やめてっ、変なもの入れないでっ、混ぜないでっ、おかしくなるっ、目が回るっ、あああああっ)
「大丈夫だよ。ちゃんとレシピ見たもん。あってるはずだもん。たぶん」
(そういう問題じゃないっ…んああああっ!やめろっ、やめてくれぇっ!)
「ええと、混ぜたら適当に冷蔵庫に入れて冷やそうか。じゃあお姉ちゃん、あとでね?」
(ちょっと、待って…)
無情にも冷蔵庫のドアは閉じられ、一時間の間、こころは音楽を聴いて過ごした。
「さてと、そろそろいいかな?お姉ちゃん、どう、固まった?」
(寒い…寒いから…もう出してよ…)
「うん、じゃあ型抜きだね。」
(…へ?)
クッキーを作りたい人100人に聞いた結果。クッキーづくりの何が楽しいのか。
型抜きと答える人がほとんどだったという。
(や、やめてぇっ、ああっ、私の意識が分裂していくっ!あ、あれはわたしでっ、ああっ、私が私でぇぇっ、だめぇぇっ!)
「お姉ちゃんって、反応が結構面白いよねー星型もいいけど、ハート形も作っておこう。」
(ああっ!型ごとにわけないでぇぇっ!だめっ、だめだからああっ!)
「さて、あとは焼くだけだけど。ああ、安心して、少し熱いけど死にはしないから。苦しくないように調節してあるからね。」
(はあっ、ハアッ…もう、もうやだああっ・・・)
「もうひと踏ん張り!がんばれ。」
(あ、あああっ、こころっ、もうやめてくれ…)
「じゃあ‼完成したらまた会おう!」
(こころおおおおおおっ!)
そうして、完成したものがこちらになります。
(はああっ、はあっ、や、やっと終わ…ひゃあああああっ!こころっ、何をっ!)
「ああ、食べられて感じちゃった?マンコの部分も胸の部分も混ぜ込まれてるからねえ。ちょっとずつ味わって食べてあげるね?」
(あんっ、やめてくれぇぇっ、あんっ!あんっ!)
「これは試作品だからね。最後まで残さず食べてあげる。」
(はあっ、おねがいだっ、あっ、全部食べないでっ…戻れなくなるっ)
「大丈夫、何とかなるって、多分。」
(こころっ、やめてぇぇっ、ふゃああっ、ひゃああっ)
「最後のひと切れだけど、どうしよっかなー」
ツンツンとつつくたびにびくびくと震えるクッキー。
(やあっ、もうひとおもいに食べてくれぇぇっ、からだがもうっ、おかしくなりそうだぁぁっ!)
「ふふっ、やっと素直になったね。じゃあ、ごちそうさまでした。」
(ふぁああああああんっ!)
「あ、あれ…?」
「おはよう。お姉ちゃん。」
「私、戻ったの?」
「うん、私の体内から分離するだけだから。」
「そう…」
安心した表情を見せる愛。だがここで、違和感に気づく。
「あれ?私の体がいまいち動かないんだけど…」
「料理の上達には練習あるのみ!そんなわけでもう一回生地になって、ね?」
(いやあああああああっ!)
姉の絶叫が響き渡った。